JR貨物、給与システム構築断念しベンダー訴える!!

 『日経コンピュータ 2005年5月16日号』の<動かないコンピュータ>にこんな見出しが躍っていました。

 JR貨物は平成12年11月から人事・給与システムの構築を開始するも、現行給与制度(仕様)とパッケージの差を埋められず、新給与システムの構築を断念し、ベンダー(ワークスアプリケーションズ=以下ワークス)に対し支払済み費用の返還を求めて訴訟を起こしていたそうです。

 訴訟自体は今年の2月に調停により和解したそうです。結果的にはワークスのパッケージソフト「COMPANY」を使った2年越しの給与システムの開発プロジェクトが成功しなかったことになります。

 鉄路も大きくないものの通運会社のIT部門に勤める者ですが、システムの刷新、特に給与システムの刷新は骨が折れます。

 事務職員だけで構成されている会社に勤められている方には難しくないだろうと思われるかもされませんが、JRや通運といった輸送を行う会社は勤務時間が不規則でそのために賃金計算が複雑になっています。また、水揚げという概念があるため多くの手当てがあてがわれます。

 給与システムは給与計算だけするのが一般的ですが、ホストコンピュータなどの自社システムで運用しているところでは、その後の会計伝票の起票も機械で自動仕訳してしまいます。その際どこの範囲まで新しい給与システムで責任を持つかといったことも考えなければなりません。当然、費用の部署ごとや関係会社ごとへの割り振りなどもありシステムは多岐にわたります。

 パッケージソフトを利用する場合は特に自由度が限られてくるため、システムを運用する側が吸収するか、制度を変えるか、資金を投じて必要な部分を開発させるかといったところも、IT部門・関係部署・ベンダーで思惑が分かれ、あとあともめる原因となります。

 既製服に身体を合わせるか、オーダーメイドで仕立てるかといった違いなのですが、往々にして関係部署は既製服に身体を合わせることに抵抗を示します。

 今回のJR貨物の事例は賃金規定や給与計算の難しさと、パッケージソフトに合わせることができなかった(ベンダーは自由度が高いことを売りにしていたが、結果的にJR貨物の給与システムには合わなかった)ことが、今回訴訟に至った原因ではないかと思います。

<JR貨物とワークスの係争の経緯(同誌より転載)>
平成12年 11月~12月 ワークスを含む5社から、人事・給与システムの提案をもらう
平成13年 4月 ワークスと契約。人事は同年10月、給与は翌年10月稼動予定とする
       10月 予定通り人事システムが稼動する
平成14年 1月 給与システムの稼動延期が決まる
       9月 COMPANY VER5.0が1ヶ月遅れで出荷
       11月 プロジェクトの遅れについてJR貨物とワークスが文書をやりとりする
       12月 ワークスが「機能はすでに提供済み」と回答。JR貨物は機能の確認を要求
平成15年 1月 JR貨物がプロジェクトの中止を決断
       3月 JR貨物がワークスに契約解除通知を送付
       4月 ワークスからJR貨物に「もう一度提案したい」との文書が到着。
           JR貨物はワークスに「改めて検討する余地はない」と回答
       7月 JR貨物が東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こす
平成17年 2月 JR貨物とワークスが調停により和解する


ワークスアプリケーションズ→http://www.worksap.co.jp/

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